LIVE REPORT

2007.5.14 mon恵比寿天窓Switch

2007年5月14日(月)恵比寿天窓Switchにて「作詞家 前田たかひろさんプロデュース プロジェクト」ライブを行いました。

会場を高田馬場から恵比寿へ移し、初めてのライブ。
初夏の爽やかな風が吹き、心地よいお天気にも恵まれました。

前回に引き続き、今回のライブもさらにプロジェクトが大きく進行するための大事なライブでした。ご多忙の中、たくさんの音楽関係者の方も駆けつけてくださいました。

ライブの準備は、独特な緊張感の中、進んでいました。
安定した重量感のあるウタ、そして説得力のあるウタをつくるため、日々の練習やリハーサルは精神的にも技術的にも、乗り越えなくてはいけない山がいくつもありました。
ウタに集中するためのライブづくり。曲順・構成。ピアノは弾くのか弾かないのか。ウタを安定させるためにはピアノだけでいいのか。
基本的な事へ返り、細かくたくさんのこと何度も話し合い、納得するカタチを探しました。

さらに1曲づつ、1行ずつ歌詞を見直して、どの行のどの言葉を伝えたいのか。この曲の一番伝えたい歌詞はどこか。そのためにウタはどう組み立てていくのか。
歌詞カードにチェックを入れていき、歌詞をさらに深く読むことによって、歌詞の理解度を上げることができました。
この状況は、チームワークの信頼度と団結力をさらに急速にあげることができ、前田監督のご指導のもと、この本番に向けて、鋭く焦点を合わせ、練習を積み上げてきました。


そしてシンセサイザーを弾いていただけることになった川又俊夫さんを向かえ、さらにどうしたらウタに集中できるのか、どの曲を弾いていただくか。逆にどの曲は弾き語りのほうがいいのか。たくさんのアドバイスをいただきながら、集中して準備は進んでいきました。

できる限りの練習はしました。そして本番は今できることのすべてを出し切るのみです。
・・・人事を尽くして天命を待つのみです。

さて。いよいよ本番です。
楽屋で待機中、今回は今まで一番、落ち着いていました。特別な緊張はしませんでした。
「必ずいいウタを歌う。歌える。気持ちを揺さぶるようなウタを1曲目の歌いだしからウタう。自分が主導権を持って自由にウタう。」そう信じて舞台に上がりました。
舞台に上がると会場には満席で、たくさんの方が来てくださっていました。
ピアノの椅子に座り、腹式呼吸ができる姿勢、全身を通る声の通り道を確認し、最初の歌い始めの言葉に意識を集中させました。

1曲目はピアノ弾き語り。マイナーバラードです。
今回はあえてピアノイントロをカットしました。
低音から始まる歌い始めは、まるで暗い深海にもぐるように、あえて重く深く歌い始めました。そしてサビの中でも歌い上げるところと、あえて引くところを意識しました。
年下の男性に恋をする女性の、戸惑いや迷いや揺れる気持ちを歌った曲です。
女性の気持ちの振り幅がとても大きく、そして情熱的な1曲です。
mcなしで2曲目へ。同じくピアノ弾き語り。短めのマイナーバラードです。
この曲の歌いだしは、あえてアカペラにし、フリーテンポで歌い始めました。
徐々にピアノを入れて、徐々にピアノ伴奏を厚くしていきました。
彼にも自分にもそれぞれの事情があって、恋人に自分の気持ちのすべてを打ち明けられない、そんな繊細な恋をしてしまった女性の曲です。 繊細な気持ちの上にある強い意志をどう表現したらいいのか。短い曲なので、ウタがサラサラ流れてしまわないように、ためるところ、崩すところ、わざと遅れる箇所を作ったりして歌いました。
ここで少しご挨拶。今回はウタに集中するためmcは曲紹介のみにしました。
3曲目は、前回のライブで初めてお披露目した曲です。マイナーバラード。
深い低音からの歌いだし。そして短めのBメロ。サビでどうしようもない気持ちがあふれてしまう曲です。別れなければと分かっているけれども離れられない。彼からの熱い気持ちを受け入れてしまう、どうしたいいのか分からない。離れる決心をしたけど実行できない、そんな決心の中、迷う女性の恋の曲です。
2コーラスあけ繰り返しのサビの1ブロックは完全なフリーアカペラのアレンジです。
閉じ込められてしまった気持ちを、意識が朦朧とする中、うつろに歌いはじめ、徐々に目を強く開いていくような意識をして、ウタをつくりました。最後はピアノの手数を増やし、ボリュームのあるピアノにし、歌い終わりは突然のカットアウトで終わります。
さて。ここからシンセサイザーの川又さんご登場です。
それまで舞台袖で見守るように、出番を待っていてくださいました。
みなさんにご紹介をして、演奏の準備。
これまでピアノ弾き語りだった曲。シンセが入ることによって安定しボリュームのある曲に仕上がりました。みなさんに早く聞いてもらいたい気持ちでいっぱいでした。

4曲目は、テンポ早めの3拍子、マイナーワルツです。
イントロからオブリのようにウインドオルガンの音を弾いてくださいました。
出会った時期がもう少し違っていたら。今ごろわたしは…。とあふれる気持ちをひとりで思う女性の曲です。特にこの3拍子をウタで崩さないように、低音をしっかり支えて高い音はカタカタと楽にのぼれるように、ウタをつくりました。
どこかヨーロッパの夕暮れ。路地裏のマンションのお部屋を連想させるような哀愁のある落ち着いたアレンジ。ウタの集中力もグッとアップしました。
続けて5曲目は、6/8拍子のマイナーバラード。
ピアノの間を縫うように、チェロの音を重ねてくださいました。
雨がしとしと降り続ける中、主人公の女性は見たくなかった現実に遭遇してしまいます。
雨とともに悲しい気持ちがあふれ、雨はいつまでも降り続いています。
ウタはリズムを強調するために、小さく押し引きをつくり曲全体にもBメロをグッと落とし、サビへかけてズッシリ音階を押し上げてのぼっていけるように作りました。
チェロの音が入ることで、情感がアップし、気持ちが煽られていきました。


シンセとのセッション。最後の曲、6曲目は遅いテンポでのズッシリとしたマイナーバラード。
ここでは、ズッシリと低い音での弦の音を重ねてくださいました。
別れてしまった恋人のことを、思い続ける女性の曲です。
この曲は間奏なしで5分以上もある長い曲です。そしてメロディーの音域も低音から高音へ広く作ってあります。
ブレない安定した、力強いウタにするためのアレンジをしてくださいました。
ズッシリと低い音を支えていただくと、曲自体の重量感がさらに重くなり、厚みを増してウタの音程も取りやすく、余計な力をいれず、負担をかけず思い切り高音まで全身で駆け上がっていくことができました。


以上の3曲、シンセサイザーを弾いてくださいました。
同じ曲を、同じ温度で、一緒に演奏してくださる人が目の前にいるという本番は、これまでになくとても安心しました。そして気持ちが落ち着いて、一緒に音を作るってとってもステキなことなんだなと思いました。

川又さん、本当にありがとうございました。
さて。最後のとりの曲は、ピアノ弾き語りです。そして新曲です。
曲紹介をして、意識を集中させました。
イントロなしです。いきなりウタから始まる曲です。
そして、この歌い始めの歌詞は、とても強烈なインパクトを持っています。
どの曲にも言えることですが、とにかく歌い始めが命。
練習は決して裏切らない。最後にそのことをもう一度思い出し、気持ちに勢いをつけました。

これまでの6曲はすべてマイナー曲。
最後はメジャー曲です。ここでライブをグっと、しめる曲順にしました。
メロディーは爽やかに綺麗に。そして歌い始めのメロとサビあたまのメロは、意外な緊張感を入れるために、わたしには珍しいコード進行を使って作りました。
情緒不安定気味な不安定な気持ちは、彼への想いがあふれてしまっているせい。あふれて止まらない彼への想いは、涙となってあふれていきます。
大サビをつくり、物語の主人公はここである決心をします。その後のサビは一気に歌い上げました。歌い上げすぎてもイイと思うくらい思い切って歌い切りました。
最後は、大波がさった凪のように、静かなピアノの後奏をゆったりと弾いて終わりました。
演奏曲目7曲をすべて、全身で歌いきることができました。
独特な緊張感の中、とても充実した演奏をやり遂げることができました。
とにかく今できるすべての力を、全部出し切って歌いたい。決して後悔だけはしたくない。支えてくださるみなさんへの感謝の気持ちは、よい本番をつくり、良いウタでしか返すことができません。
そして、このプロジェクトが向かっている方向、そこで自分の置かれた立場を再度認識し、プロジェクトチームのみなさんの意識が、真剣にわたしのウタに集中していることを再確認することで、必ず良い歌を歌いたい。その一心で、集中することができました。
結果、お忙しい中お越しくださったみなさんからも、音楽関係者の方々からも、大変ありがたいお言葉をたくさんいただき、胸がいっぱいになりました。

そして最後、前田監督に「よかったっ!!!!」と手がいたくなるほどのかたい握手をしてもらったときは、急に緊張の糸が切れて、目が涙でいっぱいになりました。


今回のライブは、わたしにとっては、特に精神的にとても大きなステップアップになるライブでした。新たに浮かび上がった課題を克服して、次のステップに挑みます。

平日のお忙しい中、お時間を作って会場に来てくださったみなさん。
メッセージをくださったみなさん。
応援してくださるみなさんと、スタッフのみなさんの力が重なって、ライブを成功させることができました。
本当にありがとうございました。

早速、次のライブの調整、ミーティングが始まりました。まだまだこれからです。
気を引き締めてがんばります。ぜひ、また次のライブも見に来てください。
お待ちしております。
次回のライブは
6月20日(水)恵比寿天窓switchです。

(なお、都合により演奏曲目は掲載できません。ご了承ください。)